下痢のお話 慢性下痢

前回は急性下痢 特に感染性下痢について書きましたが、今回は慢性下痢について触れてみます。

30日以上続く慢性下痢の原因は以下のものに分類されます。

1)炎症性                                                                                                                        ほとんどの細菌やウイルスは急性下痢で治癒しますが、腸結核 寄生虫 アメーバなどは慢性下痢の原因になります。                                                                                          潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患や放射線性腸炎なども下痢を来たします。

2)内分泌性                                                                    甲状腺機能亢進症(バセドウ病)が最も多く、ほかにZollinger-Ellison症候群 WAHA症候群などホルモン異常で下痢を来たします。

3)機能性                                                                      過敏性腸症候群が代表的でありストレスや過労などにより腸管運動に異常をきたして慢性的に下痢が続きます。これが最も多い原因であり症状や経過で診断できることもありますが、中には炎症性腸疾患や大腸がんなどが潜んでいる可能性もあり必要に応じて血液検査や便検査、内視鏡検査などを行うことがあります。

4)生活習慣による下痢                                                                アルコールや肉類 高脂肪食は腸に負担がかかり下痢することがあります。だれもが経験したことがあるのではないでしょうか。

5)その他                                                                      大腸がん 膠原病の一部 リンパ腫など重大な疾患でも慢性下痢をきたすことがあります。

下痢といっても軽いものでは日常生活に困らないものから外出にも支障をきたす重いものまで程度の差はありますが、中には命に係わる重大な疾患が隠れていることもあります。生活習慣の見直しで改善する下痢もあり、長引く下痢があれば一度お医者さんに相談してみてはいかがでしょうか。

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