下痢止めのお薬について
- 2026/02/19
- 便秘の話
下痢は日常診療においてしばしば遭遇する症状であり、放っておいても自然に治るものから命に係わるものまで様々な原因があります。下痢が続くとつらいので何らかの治療が必要とする時がありますが、下痢止めを使って偶然効いて治るものもありますが、余計に悪くなって重篤な状態になることもあります。今回は急性下痢の時に使うお薬の紹介とどんな時に使ってはいけなのかを紹介してみます。
止瀉薬には作用の違いにより以下のものがあります。
1)整腸剤 善玉菌を取り入れて、 腸内細菌叢のバランスを整えるために働きます。製剤になっている善玉菌としてビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌、糖化菌などがありそれぞれに特徴があり、どれが良く効くとかは個人差もあり優劣はつけられません。
乳酸菌製剤(ビオフェルミン ビオフェルミンR)、酪酸菌製剤(ミヤBM)乳酸菌+酪酸菌+芽胞形成菌(ビオスリー)、ビフィズス菌製剤 (ラックビー)などがあります。
2)腸管運動抑制薬 腸壁内のμ(ミュー)受容体に作用してアセチルコリンの遊離を抑制し、腸管の蠕動運動を抑えます。
ロペラミド(ロペミン):腸管内容物と腸管粘膜の接触時間を延長して水分吸収増加 腸管粘膜からの水分分泌を抑制 腸管の運動異常を是正します。
3)収斂薬 収斂薬は腸管内のタンパク質と結合して保護膜を形成し、腸管粘膜を保護したり炎症を抑える作用があります。
タンニン酸アルブミン(タンナルビン):腸管内で消化液により分解されてタンニン酸が遊離され、遊離したタンニン酸が腸管内のタンパク質と結合することで保護膜を作り、腸管粘膜を保護し炎症を抑える作用があります。
次硝酸ビスマス:腸内タンパク質と結合して皮膜を形成し、腸への刺激を抑制します。さらに腸内異常発酵で生じる硫化水素に結合し 無毒化する作用も持ちます。
4)吸着薬 吸着薬は胃腸管内の有害物質や過剰な水分、粘液などを吸着・除去することで下痢を抑える薬剤です。
天然ケイ酸アルミニウム(アドソルビン):胃腸管内の異常有害物質の吸着・除去作用 過剰な水分や粘液の吸着 腸内でのゲル化による腸粘膜保護作用があります。
5)殺菌薬:腸内の有害細菌に対して殺菌作用を発揮します。
ベルベリン塩化物水和物+ゲンノショウコエキス(フェロベリン):腸内腐敗発酵の抑制作用や抗菌作用があります。
6)漢方薬 下痢によく使われるものでは五苓散 桂枝加芍薬湯 半夏瀉心湯などがあります。
五苓散は体内の水分バランスを改善する効果があり、嘔吐を伴い脱水傾向の時に用います。一度に服用してもかまいませんが、飲んでもすぐに吐いてしまうときは、白湯に溶かして少しずつ飲むと吐いてもある程度は吸収されるのでいずれ効いてきます。
桂枝加芍薬湯はこれに含まれている芍薬が腸の平滑筋の緊張を和らげてくれるので、絞られるような痛みのある下痢に効果的です。
半夏瀉心湯は自律神経の乱れによる胃腸障害に用いられ、心因性の下痢などに使われることもあります。
急性の下痢では細菌やウイルスによる感染性か?冷えや食べ過ぎが原因の非感染性か?またその重症度によっても治療方針が変わります下痢の治療の基本方針は出すものを出し切ってしまうことですので、止瀉薬はできるだけ使わない方がよいのですが症状を軽くしたり、治りを早めるために止瀉薬を使います。
軽症下痢では整腸剤単独や収斂薬による対症療法と腸に負担のかかるものを避け、消化の良いものを腹八分にする食事療法が主体です。
中等症下痢では、脱水症に注意して水分電解質の補給を併用します。非感染症ではロペラミドなどの腸管運動抑制薬を用いることもありますが、感染性では腸管運動抑制薬は下痢を強力に止めてしまうため、悪いものの排出を遅らせてしまい、かえって悪くなることがあります。必要に応じて収斂薬 吸着薬 殺菌薬などを使うこともありますが、短期間の使用に止めます。
五苓散や桂枝加芍薬湯などの漢方薬は感染性でも非感染性でも効果があり、使い勝手がよいものです。(私見ですが)
激しい腹痛がある 38度以上の高熱 血便や黒い便がでる 脱水症状 意識がもうろうとする 自力で水が飲めない などの症状があれば重症下痢なので原因究明と根本治療を優先します。重症では基本止瀉剤は使いません。
重症度によって治療法も変わってきますので、症状がつらいとき、何度も続くなど判断に迷うときは医療機関を受診してください。

